太陽と情熱の国、スペイン。人口の約2倍にあたる8000万人以上が、毎年この国の魅力に引き寄せられている。
特にフランスに近い北東部、カタルーニャ地方に位置するバルセロナは、世界的な旅行サイト調べで常に上位の人気を誇っている観光都市だ。
その魅力は歴史に基づく文化的な背景によるものが大きいだろう。
ピカソやダリなどの偉大な芸術家を輩出し、ガウディの建築物は今現在も多くの建築家・デザイナーに影響をもたらしている。さらにはサン・セバスチャンという街は、世界中の美食家がこぞって訪れる世界一の美食の街となった。またサッカー強国でもあり、有名選手が所属するクラブの試合では街全体が盛り上がる。
そしてスペインの面白いところは、地方によって特色がまったく異なる多様性だ。
北東部はフランス、ピレネー山脈と接しており冬は厳しい冷え込み。北西部にはカトリックの巡礼地であるサンティアゴ・デ・コンポステーラを要する。北部全体では農業・工業・観光が発達しており、豊かな地方だ。
一方アンダルシア地方を中心とした南部は、8世紀から13世紀ごろまではイスラムの勢力圏であった。そのため、モスクなどイスラム色の強い建物が今も多く残っている。
言語についても興味深い。現在スペイン語と呼ばれているものは「カステーリャ語」。その他にはカタルーニャ地方の「カタルーニャ語」、バスク州の言語である「バスク語」、ガリシア州で使われる「ガリシア語」など、複数の言語が地方公用語として認められているのだ。
スペイン語は世界21ヶ国で話されており、特に中南米ではスペイン語が公用語の国も多いので、少し学んでおくと旅の際に大いに役立つだろう。
多様性は素晴らしいものだが、負の側面も持っている。近年日本でも海外のニュースとして流れてくるが、バルセロナを要するカタルーニャ地方の独立問題だ。元々習慣や言語がマドリード要するセビーリャとは異なるため、景気の良いカタルーニャは独立志向が強待ってきている。
今後スペインという国がどのような形になって行くのかについても、注目だ。