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バイヨン寺院を中心としたシェムリアップのアンコール・トム遺跡

アンコール・トム遺跡は12世紀の末頃、アンコール王朝の最盛期に建てられました。
有名なアンコール・ワットは一つの寺院ですが、アンコール・トムはそれ自体が大きな城塞都市。「クメールの微笑み」をようするバイヨン寺院を中心に造られており、アンコール王朝時代の都市の特徴が現れています。

当時の王様が実際に通い、軍事パレードなどの祭典で民衆も集ったアンコール・トム遺跡をご紹介します。

アンコール・トムの玄関口 南大門

東西南北を向いた真四角のアンコール・トム遺跡。4辺は全てお堀に囲まれており、遺跡に入るには橋を渡る必要があります。
遺跡の入り口前の最も印象的な光景を見られるのが、南大門前の橋。

その特徴は欄干にあります。
神々と悪魔が蛇の胴体を綱引きし、お乳の海を混ぜることで森羅万象が誕生する「乳海攪拌」という神話がモチーフになっています。これはアンコールワットの壁面にも描かれている物語。
欄干の向かって右側は悪魔、左側は神々の石像、橋の手すり部分が蛇の胴体に模されており、ヒンドゥー教の世界観を現す欄干の作りにとても興味を引かれます。

全部で5つある門のうち、南大門が当時も現在も遺跡への入り口として最も利用されています。
石造りの立派な門となっており、門上部に注目してみるとそれぞれの方向を見つめる4つの顔を持つ観世音菩薩が、通常の門と異なる特徴となっています。

表情豊かな石像の顔 バイヨン

アンコール・トムの中心にある寺院、バイヨン。この寺院がアンコール・トムのハイライトとなっている理由はその異端さから。
アンコール・ワットを正統派とするなら、とても異端過ぎる遺跡。南大門にもあった4面を向いた尊顔など、他の遺跡には見られない世界観で作り上げられています。

当時の王様がどの様な思いでこの遺跡を造ったのか。歩きながら想像を巡らすのも楽しいですよ。

バイヨンを含めてアンコール・トムの遺跡の中で最も人気があるのが、この「クメールの微笑み」。
某人気テレビ番組のセットにも、モチーフとして使われているので見たことのある方もいると思います。一緒に写真を撮ることもできるので、訪れた際は人混みをかき分けて、ぜひチャレンジしてみてください。

こちらがバイヨンの全景。
アンコール・ワットのように巨大ではありませんが、このこじんまりした遺跡の中には不思議が詰まっています。

その一つが中央祠堂。バイヨン、そしてアンコール・トム遺跡の中心の中心です。
壁に沿って立ちながら、自分の胸をゴリラの様に叩くと不思議な現象に遭遇。ボォォンという底から響く音が祠堂中に反響し、低音と振動に包まれます。
とても気持ちの良い音なので、一度お試しあれ。

閲兵式などの舞台 象のテラス

アンコール・トム遺跡の北側に広がる象のテラス。
全長350m、高さ6mほどの巨大なテラスが南北に伸び、テラスの一部に象のレリーフが掘られていることから、そう名付けられています。

テラスの上からは、テラス下に広がる草地と、奥にプラサット・スゥル・プラットと呼ばれる12本の塔を見ることができます。現在ではとてものどかな風景となっています。
が、当時はテラス下には数百もの兵士、塔の間にはロープが渡され、その上を妃候補が命がけで渡っていました。足を滑らせて落ちれば命はありません。今の景色からは想像ができませんが、当時は血なまぐさい光景があったそうです。

当時の世界を想像すると、見える光景も全く異なるものになり、とても面白く遺跡を巡ることができます。

[アンコール・トムの情報]
住所:Angkor Thom, Angkor Archeological Park, Krong Siem Reap 17000

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