Travel Diary

世界中の旅人を魅了するアンコールワット4つの魅力

世界中の旅人が憧れ、一度は訪れて見たいと切望するカンボジアのアンコールワット。その姿を目の当たりにすると、決して忘れることができない壮大な遺跡です。
12世紀に建造された他のアンコール遺跡群の建築物と比しても、特に巨大さが際立ち、朝陽に照らされる姿は神々しく目が離せなくなります。
何が人々をそれほどまでに惹来つけるのか?アンコールワットの魅力を4つの要素とともにご紹介いたします。

唯一無二の世界観を表現する造形美

アンコールワットの建築様式はクメール様式となっており、正確に東西南北の方角を向いた、四角形をなしています。
中心には高さ65mの祠堂がそびえ、西側から遺跡の中心部に向かう参道が真っ直ぐと貫いています。
また、祠堂をバックに東の空から登る朝日は特に素晴らしく、現在はご来光を拝むために朝早くからツアーが開催されています。

遺跡は外側から第一回廊、第二回廊、第三回廊と相似形を描いています。
第一回廊の正面には聖池が水を讃え、逆さアンコールワットが見られる絶景スポットに。遺跡全体の外形はもちろん、池や回廊の配置などがシンメトリーになっており、人間が自然と美しいと思えるように建造されています。

ヒンドゥー教の特徴が随所に見られる様式

アンコールワットの最も象徴的な部分が、第三回廊にそびえる祠堂。当時の祠堂にはヴィシュヌ神像が祀られていたそうですが、現在は行方不明で見つかっていません。
この祠堂は建造当時、王様や司祭など限られた人物しか入ることが許されておらず、特別な空間として存在していました。
およそテニスコート3面ほどと、想像よりもずっと大きい祈りのための空間が広がっています。

第三回廊の西側からは、アンコール・ワットの全景を一望することができます。手前の第二回廊、奥の第一回廊、そして遠くまで真っ直ぐに延びる参道が、遺跡全体の見事な美しさを感じさせてくれます。
当時の王もこの場所から、アンコールワットに集う人々を眺めていたのかと想像すると、当時にタイムスリップしたかのような感覚になりますね。

第三回廊へは傾斜が約70°もある階段を登って行きます。
現在は補助用の階段が作られてある程度安全ですが、補助階段ができるまでは建造当時の階段を利用しており、急すぎて何人もの転落者が出たそうです。
これほど高くて美しい作りの第三回郎を700年も前に建てたことに思いを馳せると、当時の人々の苦労や建造への想いを感じます。

遺跡の細部に宿る美

アンコールワットの回廊内の壁を観察してみると、随所にとても細かく彫刻されたレリーフを見ることができます。
その一つが、第二回廊のアプサラのレリーフ。アプサラとはクメールで女神のことで、柔和な笑みを浮かべて踊っている姿でよく表されます。
一体一体の顔の表情、姿勢、服装など全て異なっており、服の模様といった細かい部分まで綺麗に彫られているのが印象的。薄く顔料が残っており、当時の豊かで鮮やかな色彩が見えてくるようです。

第一回廊と第二回廊が交差する十字回廊。天井部分は十字に組まれており、その十字がぴったり東西南北をさすように設計されています。
注意していないと見過ごしてしまうほど、細かい部分まで完璧に設計・建造されている事実は、当時の人の美学を想像させるに充分。実際に十字に合わせ方位磁石を置くと綺麗に北をさすので、ぜひ試してみてください。

アンコール遺跡群でよく見られるのが、蓮の花を象ったレリーフ。蓮の花は生命力を表しており、その力にあやかる意味をこめて多く拵えられています。
8枚の花弁が放射状に、そして左右対称に描かれており、タイル状に整然と並べられた姿は圧巻です。

壁に刻まれるヒンドゥーの物語と神話

第一回廊の南面東側に描かれているのが、「天国と地獄」と題されたレリーフ。地獄の王であるヤーマが、あの世へ旅立った王や貴族の判決を行う様子を描いています。
レリーフは上中下の三段に分かれており、下段の地獄模様は戦慄の一言。悪魔に口から胴まで串刺しにされる刑罰など、32刑の場面が描かれています。
ちなみに、上段・中段は判決を待っている列となっており、レリーフ全体で見応えのある一枚です。

第一回廊の東面南側に描かれているのは、神々と阿修羅が協力して不老不死の霊薬を生み出す、ヒンドゥー教の天地創造の神話「乳海攪拌」。
レリーフの中心にはヴィシュヌ神が大亀(クールマ)に乗り、左右で綱引きをしている両勢の采配をしている姿。攪拌の結果、不老不死の薬が噴き出して来るという神話になっています。

これらのレリーフは、当時の一般の市民および兵士が5m区画を分担して彫っており、戦さに行って帰ってきては続きを彫る、という形で完成に至りました。
王から市民まで、当時の人々の想いが詰まった芸術作品にもなっているので、ぜひじっくり見てみてください。

[アンコールワットの情報]
住所:Angkor Ruins, Siem Reap
入場料:大人:1日券37USドル、3日券62USドル、7日券72USドル 12歳未満は無料。

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