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現実にあるジブリの世界 廃墟の美しさを感じるカンボジア ベン・メリア遺跡

カンボジアの有名な遺跡と言えばアンコール・ワットですが、ベン・メリアという遺跡をご存知でしょうか?
アンコール・ワットの東40kmほどの密林の中に位置し、日本人によってわずか15年ほど前に発掘・調査が行われ始めました。

しかし現在も修復があまり進んでおらず、遺跡のほとんどが崩れたまま。崩れ落ちた遺跡には苔がむし、廃墟のような姿は滅んでいった時代の移り変わりや美しさを感じます。
今回の記事では、ベン・メリアの儚くも美しい姿をご紹介します。

立派なナーガの像お出迎え 遺跡へ続く参道

ベン・メリアは東のアンコール・ワットと呼ばれることもあります。規模はアンコール・ワットに比べて小さいですが、アンコール・ワット以前に造営されており、そのモデルになったと言われています。そのため上空から見た遺跡の形は、アンコール・ワットとほぼ同一の相似形。

そして遺跡の中心部である第三回廊へは、まっすぐ伸びる参道を進んで行くことになります。

ベン・メリアは遺跡の大部分が崩れ落ち、原形をとどめている箇所はそれほど多くはありません。
そんな中でアンコール・ワットよりも保存状態良く残っているのが、参道の欄干に屹立するナーガ像。五つの鎌首を持ち上げて見下ろす姿は、入ってくる者を威嚇しているようにも見えますね。

ナーガの前に立つとその迫力に圧倒されると同時に、美しさに目を奪われます。石の質感もありますが、日の光を浴びて艶やかな表面は芸術作品のよう。

参道のつき当たりには、崩れた遺跡の岩の間から生え育った、巨大なガジュマルの木が。植物の生命力の強さをダイレクトに感じますね。
ベン・メリアはこのような迫力ある光景を、手で触れられるほど間近で見ることができます。

崩れた天井が侵入を拒む 第一回廊

現在のベン・メリアは、第一回廊から第三回廊までのほぼ全域が崩壊しており、遺跡が健在だった時のように参道を通り抜けて内部に入ることができなくなっています。
本来、回廊は天井高5mほどのトンネル状の通路になっているのですが、現在は天井が崩落。完全に塞がってしまって通れないため、観光用に設けられた木組みの欄干を渡って見学することになります。

こちらは第一回廊を取り囲むお堀。乾季には水が干上がり、雑草が青々と生い茂ります。雨季になるとここには雨水が貯まるのだそう。
アンコール・ワットのお堀のように、池に逆さに映るベン・メリアの遺跡が美しく見えそうです。

崩れていることで思わぬことも。本来は第一回廊の屋根にあり近くで見ることが難しい彫刻を、欄干上から目の前で見ることができます。精緻で丸みを帯びた柔らかな表情と仕草で、ヒンドゥー教の世界観を表現。雲の上で踊っている天女のような印象でとても綺麗です。

まるでジブリの世界 息をのむ廃墟の雰囲気漂う第二回廊

第二回廊の内側には、テニスコート2面分くらいの比較的広めの空間が広がっています。元々立派な第二回廊と第三回廊があった場所になります。
欄干から遺跡の上部を見上げると、崩れた遺跡を覆う苔と木々。そして葉の間からこぼれてくる陽の光が、とても幻想的で美しい世界を見せてれます。

ベン・メリアは、一説には「天空の城ラピュタ」のモデルになった地とも言われています。その説に違わない絶景ですね。

欄干は第三回廊を中心として、コの字を書くように通行可能。第二回廊の屋根の上に登れる箇所もあり、高い位置から全体を見渡す景色は、これまた別格です。
上から見下ろすと、遺跡全体の廃墟感がより一層強く感じられますね。

栄枯盛衰 儚さと美しさを感じる第三回廊

第三回廊は残念ながら完全に崩落してしまっています。アンコール・ワットのように、本来であればここに祈りの空間があるのですが、跡形もなく崩れ石が積み上がっている状態。
そして積み上がった石の上には、墓標のようにガジュマルの木がそびえて立っています。

ベン・メリアの中心である第三回廊の姿が、栄枯盛衰のもの悲しさを象徴しているように感じます。

崩れた外壁は一見ただの石に見えますが、積み上がった石の土台部分をよく見ると掘られた模様が。ヒンドゥー教の神話や極楽浄土を表す模様は、ベン・メリア遺跡のあちこちで見ることができます。

個人的にはシェムリアップNo.1の観光スポット

儚くも美しいベン・メリアはいかがでしたでしょうか。雨季だともっと全体が苔むした感じになり、写真よりも青々と綺麗で美しい姿を見せてくれるそうです。
また、10時くらいから中国人団体客が押し寄せるので、その前に観光を済ませてしまうのがいいでしょう。9時代だと貸切状態で、ゆっくり見学できますよ。

廃墟の美に心打たれる素晴らしい遺跡ベン・メリア。本当におすすめです!

[ベン・メリアの情報]
住所:Angkor Archaeological Park
電話番号:+855-63-760-079
アクセス:シェムリアップより車で約1時間。公共交通機関は通っていないので、タクシーまたはオプショナルツアーに申し込んで連れてきてもらうのがベター。

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