Travel Diary

アンコール・ワットを1日で堪能する遺跡内の巡り方

周囲が密林に囲まれた街中に、クメール文明とヒンドゥー教の世界観を地上に表現した遺跡が存在します。
1度は行ってみたい観光スポットとして、世界中のツーリストから人気が高いアンコール・ワット。僅か150年ほど前に発見されたばかりで、ミステリアスな魅力が溢れるアンコール・ワットの、一番楽しめる時間帯とコースについてご紹介します。

朝5時 仏塔から昇る静寂の中のサンライズ

アンコール・ワット観光は、夜が明ける前からスタート。入場チケットは遺跡から5kmほど離れた観光センターで購入し、遺跡に入場します。
日の出がよく見られるポイントは、主に2か所。一番外側の環壕の外側と、第三回廊の外側の聖池の前です。写真は一番人気の聖池の前の様子。聖池前は混んでいることが多く、ポジション取りが難しい場所になります。また、11月から4月の乾季には池が小さくなり、逆さに見える祠堂が写らない場合も。早く到着した場合は、聖池前での撮影に挑戦することをオススメします。

日の出鑑賞の穴場は、一番外側環壕。多くの観光客は、環壕に掛かる橋を渡って遺跡内に入ってしまうため、早めに着けば場所は選び放題です。目の前には対岸まで約100mある環壕。鑑賞ポイントは少し高い場所なので、ちょうど目線の高さに祠堂が臨める高さになります。
そして、この鑑賞ポイントのおすすめがもう一つ。環壕の水辺に注目すると、空に向かって咲く、赤く美しい蓮の花が見られます。クメールの世界観が散りばめられた遺跡内。白んでくる空を見つめながら、まるで桃源郷のような雰囲気を感じてみてはいかがでしょうか。

ガイドブックなどで一度は見たことがある日の出の光景は、一日観光のハイライトと言っても過言ではありません。時期にもより少し変わりますが、日の出の時間は一年を通して5時半から6時半の間。
環壕からは遺跡の正面から日の出を見られます。そして、アンコール・ワットに突き立つ祠堂5本の内、正面から見えるのは3本。中央にそびえる、一際大きく高い第三回廊の祠堂から昇る朝日は、本当に神秘的です。

午後2時 全景臨む中央参道と第一回廊

遺跡内の全てが、絶好の撮影スポットであるアンコール・ワットですが、観光の時間帯には注意が必要。午前中の写真撮影は逆光になってしまうので、遺跡の中を巡る観光は、午後の時間帯がおすすめです。サンライズを見たら、一度ホテルに戻って朝食をとったり、シェムリアップ市内を観光したりして、午後アンコール・ワットを再訪するという行程がいいでしょう。

南北約1.3km、東西は約1.5kmもの広大な敷地で、一日近くかけてやっと回れるほどの広さの遺跡は、西側が正面となっており東へ向かって進むのが順路。
環壕に掛かる橋を渡ると、最初に到達するのが西塔門。門の内部には巨大な仏像が鎮座しており、毎日お祈りが捧げられています。

西塔門から本殿までの中央参道は、王族のみが利用していた参道だったようです。王族が通るときには、楽団が演奏をしていたと伝わっています。兵士やその他の者は、脇に設けられた別の道を使って本殿へ入っていました。
そして、参道突き当たりにあるテラスは、ちょっとした舞台のよう。本殿や中央指導を背景に入れられる、撮影に適した場所なので、記念に残る一枚を撮りたいスポットです。

中央の西門をくぐると、屋根に覆われた左右に伸びる空間が現れます。ここがアンコール・ワット中心部を三重に囲む回廊の、最も外周にあたる部分。天井の高さは約5mにもなります。
回廊が長く先が見えないので、進んだ先にどこに辿り着くのか分からない、不思議な感覚にドキドキしますね。

午後3時 神秘の十字回廊と沐浴池、第二回廊

第一回廊を通過すると、第二回廊とを結ぶ、十字回廊に到達。この場所は歴史的に貴重な建築物として、興味深い見所がいくつかあり、観光客で常に賑わっています。
見所の一つは、建立当時の色彩が残る、天井や数々の列柱。朱塗りの模様が所々に残っており、当時の面影を感じることができます。もう一つは、十字回廊の中心部。この中心部でスマホのコンパス機能を使い、面白い実験ができます。真北にスマホの上部を合わせてみると、きっちり正確に東西南北を指し示す結果に!

十字回廊の脇には、4つに区切られた沐浴池の跡があります。お祈り前のお清めのための池であるとか、沐浴のために解放されていた池であると現在は考えられています。
この地域の雨季は排水に難儀していたので、現在も雨季にはこの沐浴池に水が溜まることから、排水施設としての意味も持っていたと言われています。

第二回廊の壁面には、いくつもの像が彫られています。その中でも、デバター(女神)像は2000体以上もあり、特別な存在であったことが伺えます。
デバター像は一つとして同じ表情、ポージング、服装のものはなく、バラエティー豊かで見ていて飽きません。柔和な表情で踊るような姿に、とても癒されます。

午後4時 中央祠堂と天空の第三回廊

十字回廊を抜けると、屋根がなくなり開けた場所に。すぐ目の前には、アンコール・ワットの中心である、高さが60mにもなる中央祠堂と第三回廊。背中をのけ反らせるほど見上げることになり、迫力ある存在感が印象的です。

第三回廊へ入るための入り口は、東側に設置された急角度の階段。近年までは元々第三回廊の壁に直接築かれた、建造当時の階段が利用されていました。しかし、あまりにも急なため、転落者が続出。死者も多かったので、現在の階段が設けられました。

クメール時代には、この第三回廊は王族やヒンドゥー教のお坊さんなど限られた者しか入ることは許されませんでした。現在も仏日と呼ばれる日には、お坊さんがお祈りを捧げる為、一般客は入れないようになっています。
そして、この回廊の特徴は素晴らしい眺望。回廊の壁の隙間からは、アンコール・ワットが眼下に一望できます。クメールの世界観を上空からも楽しんでみてください。

午後5時半 ヒンドゥー教の世界観表す第一回廊のレリーフ

アンコール・ワットの締めは、ヒンドゥー教の物語をかたどった、長さ200m以上にもなる巨大なレリーフ鑑賞が王道ルート。第三回廊は遺跡内の最奥に位置しており、レリーフも第一回廊の最奥にあるためです。
そのレリーフには、ヒンドゥー教の叙事詩の一説である、乳海撹拌や天国と地獄といったストーリーが描かれています。乳海撹拌では、天使と悪魔がナーガ(蛇)を綱引きしている物語を表現。1体1体表情の異なる像の細かい彫刻に、じっくりと見入ってしまいます。

天国と地獄のレリーフは、かなり分かり易い構図。レリーフに3層の線が彫られており、上段が天国、中段は裁判の場所、下段に地獄が描かれています。特に興味深いのは、下段の地獄。人間が口から串刺しにされた人や、ワニに食べられる人など、日本の昔話に出てきそうな光景を表現しています。
これらのレリーフ製造には、一般人や兵士も携わっていました。戦争の際には途中で作業をストップし、帰ってきたらまた続行する、ということを繰り返していたそうです。作られた時のエピソードを知ると、当時の情景が目の前にある現代の遺跡と重なって見えませんか?

[アンコール・ワットの情報]
住所:Angkor Ruins, Siem Reap
入場料:大人:1日券37USドル、3日券62USドル、7日券72USドル 12歳未満は無料。
アクセス:シェムリアップ空港または市内から車で約20分

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