やはり暑さがしんどい。
顔面からは汗が止まることなく流れ続けている。
ふぅ、いったん小休憩しよう。
近くの岩に腰を掛け、ドリンクで水分補給をする。
そして、これまで登ってきた道にカメラを向ける。
登山ならではのいい景色だ。
山頂以外のすべてのものが眼下に見える。
車を停めている駐車場もはっきりと見えるね。
こうやって見てみると、随分と上まで来たものだ。
身体を地球の重力に対して垂直にして写真を撮ると、傾斜具合もよく分かる。
高千穂峰のこのエリアは相当な傾斜だ。身体を少し後ろに傾けると、そのまま後ろに転がってしまいそうになる。
改めて前、というか上の方を見上げてみると、先はまだまだ長い。
ふぅ、行くか。
足の置き場に気を付けながら快調に飛ばして登って行く。
今は下に人がいないので安心だが、石を踏んで蹴ってしまった際の落石がひどい。
傾斜があるのでかなり下のほうまで落ちていってしまう。
小さめの石とは言え、これは気を付けて登らないとね。
さらに登って行くと、今度は上から学生っぽい1組のカップルが降りてくる。
ただ女の子の方は岩に這いつくばるような格好だ。
おそらく立ったままだと自分の体重を支え切れず、滑落してしまう感覚なのだろう。
この傾斜と不安定な足場だと、すいすいと降りれないのも納得だ。
上り以上に下る方が難易度の高い山があるけれど、この高千穂峰もそんな山の一つかもしれない。
ふぅ、この岩場、ガレ場を30分くらい登ってきたかな。
そろそろこのガレ場も終わりが見えてきている。
あとちょっとで山頂だ。
直射日光が当たる暑い中、たまに吹く風がとても気持ちいい。
もう少し風が吹いてくれてもいいのだけどね。山登りでは風はやっかいなものだけど、今は少し吹いて体温を下げてほしいよ。
うっし!
登り切ったー。
、、、けど。
いや、何となくさっきから感じてはいたけれど、山頂ではないみたいだ。
第二エリアが終了した感じで、まだ先には第三エリアが広がっている。
この達成感の後にまだ強敵がいる感じ。前回登った女峰山を思い出すよ。
右を見ると、火山口がポッカリと大きな口を開けている。
いわゆる御鉢というやつだ。
今は底が見えているけれど、足を踏み外してここに落ちてしまったら、多分死ぬ。
幅5mほどの御鉢の淵を回り、さらに奥へと進もう。
ここは「馬の背」と呼ばれているみたい。
右側は御鉢。左側は急峻な崖になっていて、この歩ける部分は峰にあたる。
両側とも切り立っていて柵もないので、かなりスリルはあるね。
さっきまでの急な傾斜ではなくなり、少し上り調子の比較的歩きやすいエリアとなっている。
少しずつ上りながら、このエリアでは足を休ませることができそうだ。
御鉢周りの壮大な景色を見渡しながら、馬の背を進んでいく。
この辺りは谷側から風が吹きあがってくることもあり、ちょっとクールダウンもできる。
10分ほどで馬の背を歩き終える。
この先に見えるのがいよいよ最終エリアだ。
いやー、まだまだあるじゃん。しかもさっきよりも傾斜キツそうだし。
はぁ。
ちょっと、いや、かなり気力が持っていかれた。
これ登るの嫌だなぁ。
でも、ここで帰るわけにはいかない。
ちゃんと登りきらないと。
と、思っているうちに天候が怪しくなってきた。
靄がかかり始めて、視界が悪くなってくる。天気が崩れる前に早く登り切ろう。
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