駐車場に車を停め外へ。
さっきまでよりは大分雨は弱まっているけれど、まだ少し降っている。
駐車場脇の細い道を知覧特攻平和会館の入口へ向かう。
控えめな感じで博物館のような施設というよりは、町役場みたいな雰囲気だ。
戦争の悲惨さを伝える施設ということで、派手にするわけにもいかないのだろう。
中に入りすぐ右手のチケット売り場でチケットを購入。
どこから見ていけばいいのかよく分からないけれど、正面の展示室に入ってみよう。
ちなみに知覧特攻平和会館の中は写真撮影NGだ。
雰囲気を写真に残せないのは残念だね。
正面の大きな展示室に入る。
ホールには特攻隊に関連する様々な資料が展示されている。
知覧からの特攻は十数回に及んだらしく、その1回1回ごとの隊員全ての顔写真と名前がホールの壁に掲げられている。
皆十代後半から二十代後半の若者だ。
どの顔も凛々しくて真っすぐな眼差しで、誰も彼も格好いい。
特攻に飛び立つ前に撮ったものなのか分からないが、悲壮感を出している者は誰もいない。
皆から覚悟が伝わってくる表情ばかりだ。
ホールの中心辺りには、特攻隊員の手紙が数多く展示してある。
家族に宛てた手紙なのだけど、特に母親向けのものが多いな。
それぞれの手紙には、感謝とこれから立派に務めを果たすから安心してくれ、という想いがつづられている。
死にに行くのが恐ろしい、という内容の手紙は皆無。
本来なら未来ある若者が、この戦争の末に生き残る者たちへ自分たちの未来をも託す内容に、胸が詰まるなぁ。
これを受け取った家族はどんな思いを抱いたんだろ?
本当に辛かったに違いない。
「ただ今より視聴覚ルームで映像の上映を開始します。どうぞご覧ください」
お、資料映像の上映時間だ。
展示室の右奥に進み、視聴覚室に入る。
一度に2,300人くらい入れる大きなホールだ。今はコロナ対策のために、1席おきの開放となっている。
室内が暗くなり上映が始まる。
上映内容はこの知覧特攻平和会館のハイライトのような内容だ。
数人の隊員の事例をピックアップし、彼らの人生や物語を深堀りしていく。
その切ない物語は多くの人の心を打ち、中には鼻をすする人もぽつぽついる。
最初は国と国との正義によって始まる戦争。
次第に当初の目的や意味は薄れて、戦闘だけが残っていく。
その犠牲者はごくごく一般の人だ。
そんな問いを心に残して上映は終了。
席を離れる皆の足取りがすごい重いなぁ。
残りの展示室も見ていこう。
また手紙などが展示されている部屋を見て回る。
お、映像だ。
生き残った特攻隊員に対して、半世紀後くらいにインタビューをしている映像が流れている。
彼ら曰く、特攻を言い渡される前は、早く特攻に行きたくてしょうがなかったみたいだ。
けれども、特攻を言い渡された夜は、布団を被って肩で泣いている隊員もいたらしい。
お、戦闘機。
さらに奥の部屋にはゼロ戦の残骸が展示されている。
ここだけは写真撮影OKらしく、いろいろな角度から撮ってみよう。
残骸なので完全な形では残っていない。
どうやら太平洋沖に沈んでいたものを、戦後数十年後に引き上げたみたいだ。
さて、どうやらここで知覧特攻平和会館は終わりみたい。
ちょっと心に引っ掛かりを感じつつ、施設を後にする。
ずっと歩き詰めでお腹も減ったし、ご飯にしよう。
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