ボクはさっき飛行機の中でよく寝れたせいか、あまり眠くない。
もしくは初めてのモロッコでドーパミンが出まくっているのかも。本当に興奮状態だ。
その後も何回か休憩を挟む。
いつの間にかハイウェイから降りて、一般道を走っている。
夕暮れが迫り、外の景色がオレンジ色に染まる。
今通っているあたりは、塩田だ。塩にオレンジの光が反射してキレイだ。
やっぱり、どこの国でもサンセットは美しいな。地平線に沈んでいくオレンジの太陽が、バスの中までオレンジに染めていく。
あぁ、この景色ずっと見ていられるわ。
夕陽が完全に沈むと、今度はトワイライトの時間。
夜の帳が降りてきて、闇が濃くなっていくこの時間も好きだな。
そして、このトワイライトの時間はあっという間だ。
すぐに夜が勝って、真っ暗闇になる。
暗くなると、人間やっぱり眠くなるな。
だめだ、寝よう。
ん。
どのくらい寝ていたかな。1時間くらいか。
バスはまだ目的地に着かず、山道を走っている。
そして曲がりくねった道を、車体を揺らしながら上昇。
「おはようございまーす。皆さん、左側がシャフシャウエン」
イッサンのアナウンスが突然始まり、皆寝ぼけ眼をこする。
うわっ!すごい!!
めっちゃ綺麗な夜景だ。
左側を見ると、山の斜面に沿って、街の灯りがポツポツと灯っている。
オレンジ色の灯りが、シャウエン全体を浮かび上がらせ、とても幻想的だ。
すぐにシャウエンの夜景が見えなくなり、窓の外の景色が街っぽくなってきた。
自分たちのバスが、シャウエンに入ったのだ。
バスは街に入りすぐに駐車場へ。
どうやらここからは徒歩で、夕食のレストランまで異動らしい。
バスの外に出ると、空気は少し肌寒い。
標高が高いんだろうな。
「それでは皆さん、これからレストラン行きますよー」
イッサンの先導で、シャウエンの上り坂を、スーツケースを押しながら登る。
20kg近いものを押しながら登るの、かなりキツイ。
油断していると、荷物が下に転がっていってしまいそうだ。
そして、街の中はとても活気に溢れている。
道路は細く、それほど大きな街ではないものの、人でごった返している。
もう21時にこの人だかり。
マジで?!明日は土曜だけれど、流石に人が多すぎないか?
この団体で進んでいくのは、結構難しいレベルの人混み。
バスを降りてから、20分くらい坂を登っている。
ボクのスーツケースは、成田でローラーが1つ壊れてしまったので、押していくのが少しツライ。
レストランはまだかぁ。。
と、イッサンが途中で立ち止まる。
そして、誰かと電話で話をし出した。
やな予感だ。
シャウエンは、山の麓の斜面にへばりつくように作られている。
そして道が複雑で、所々入り組んでいて、方向感覚を正常に保つのが難しい。
何も考えないで歩いていたボクは、すでに方向がよく分からなくなってきている。
「すいませーん。道間違えました」
やっぱりぃ。めっちゃ登ってきて腕の筋肉も疲れているし、暑くて少し汗をかいている。
はぁ、今登った道を引き返すのか。
皆ブーブー文句を立てる。そりゃそうだ。
そして、少し降りたところでタクシーゲット。
全員で12人なので、合計4大必要だ。とりあえず捕まえることのできた2台に6人入ってもらい、先に送る。
ボクら残り組みは、少し歩いてタクシープールのような場所へ。
そこで6人一気に乗れるミニバンタクシーに乗り、目的地へ向かう。
うーん、さっき歩きで通った道を戻っている気が。
10分ほど乗っていただろうか。
ちょっとした広場のような所に到着。
あ、先にタクシーで出発した皆がいる!
ようやく到着かな。
「皆さーん、こちらでーす」
凸凹の石畳が、スーツケースを押す腕にキツイ。
しかし、本当に人が多い。
それほど大きくないこの街に、一体どれだけの人がいるのか。
老いも若きも、皆何をするでもなく道を歩いている。
一つ特徴的なのは、女性の姿をあまり見ないことだ。
イスラムの戒律なのか、女性は公の場にあまり姿を晒さないらしい。
広場を抜けて、人が2人すれ違えるくらい細い路地へ。
いいねぇ。めっちゃ地元感満載だ。
そして、さらに脇の小道に入ると、カラフルなランタンが灯る、雰囲気のいい道に入る。
すごい綺麗だ。
なんか、一気に疲れが吹き飛ぶ。
そして階段を少し降り、現れる小さい扉と地下に入るような階段。
どうやらここがレストランみたいだ。
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