シェムリアップの遺跡の中で、アンコール・ワット、バイヨンに次いで人気があるタ・プローム。
その特徴は、発見当時の雰囲気をそのままを残す姿で、森林に隠された年月を想像させてくれます。遺跡の壁面には巨大な木の根っこや苔が覆い、遺跡の全てを呑み込む様は自然の力を感じます。
本記事では、映画「トゥームレイダー」の撮影スポットにもなっており、秘境感が漂うタ・プローム遺跡をご紹介します。
遺跡を呑み込むガジュマルの根
タ・プローム遺跡が建てられたのは、バイヨンよりも少し早い時期の1186年。創健当時は仏教寺院として建てられましたが、のちにヒンドゥー教寺院として改修が行われました。
そして、建造当時の雰囲気を残すため、あえて発見当時の姿のまま保存されることに、現在のような廃墟感がにじみ出る雰囲気となっています。
タ・プローム遺跡の最大の特徴は、遺跡のそこかしこに根を張り巡らせる巨大な榕樹(スポアン)。ガジュマルの根が血管のように遺跡の壁に絡みつき、全てを呑み込まんとする様に、とてつもない生命力を感じます。
樹齢300年~400年と言われるいくつもの大木は迫力満点。いつかは寺院のすべてを包み込んでしまうのではないか、と思うほどです。
寺院内には数多くのスポットがあります。
特に人気のスポットは、映画「トゥームレイダー」の撮影が行われたポイント。訪れる時間帯によっては10メートルほどの行列ができており、撮影の順番が回ってくるまでに10分くらい待つことも。
ガジュマルの木は他の木とは別格の迫力!最も自然の威容を感じるスポットですので、ぜひ立ち寄ってみてください。
遺跡を包み込む退廃感
すっかりガジュマルの木の根っこに覆われてしまっているタ・プローム遺跡。意外にも遺跡の入り口付近は綺麗な状態に整備されています。綺麗な状態だと、アンコール・ワットやバイヨンと変わりない遺跡に見えてきます。
しかし、その印象は遺跡の入り口まで。内部に一歩足を踏み込むと、広がる世界はアンコール・ワット、バイヨンとは全くの別物。退廃的な雰囲気に一気に様変わりします。
所々に修復されずに崩れたままの石が無造作に積み上がり、この遺跡が忘れ去られてしまった時代へタイムスリップしたかのようです。
崩れた遺跡にガジュマルの幹と、葉の隙間から射す木漏れ日。
その神秘的かつアーティスティックな風景は、ラピュタの世界になぞらえられることもあります。
現在も残されているガジュマルの木ですが、この木が遺跡を破壊しているのか支えているのか、現在も調査が進められています。
もし破壊を促しているとされた場合は、この光景を見られることができなくなる日がやがて訪れるかもしれません。
エコーが反響する祠堂
退廃的な遺跡の中で一風変わった場所が存在します。
タ・プローム遺跡の中には全部で39の祠堂・仏塔がありますが、ある祠堂には面白い仕掛けが施されています。
祠堂はお祈りの場なので、中はお香が焚かれ煙がもうもうと立ち込めています。そこで壁際に寄って、ゴリラのように胸を叩いてみましょう。
ボォォンというドラムのような低い音が、祠堂の中に響き渡る不思議な音を体験できますよ。一回試してみると、落ち着く音で思わず何回も試してみたくなってしまいます。
神秘的かつ退廃的なタ・プローム遺跡
タ・プローム遺跡の神秘的で退廃的な雰囲気は伝わりましたでしょうか。
綺麗に修復された遺跡は数多くあれど、崩れてしまった部分をそのまま保存している遺跡は、世界の中でも珍しいものです。
他では味わえない歴史、時の流れをぜひ感じ取ってみてください。
[タ・プロームの情報]
住所:Ta Prohm Cambodia
電話番号:+85-5-12-406-929
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