海岸ではいい写真が撮れた。
ちょうど干潮だったので、干潮ならではの近づいた画だ。
タナロット寺院から逆に戻り、途中にあった公園へ向かう。
公園内には、沈みかけていく夕陽を鑑賞している人でいっぱいだ。
先ほどまでは白い光を放っていたけれど、だんだんとオレンジ色に変わっていっている。
そして夕陽がよく見える海側は、だんだんと人が集まりだしてきている。
ボクも撮影に適した場所を見繕って、ポジションを確保しよう。
一番海側、そしてバトゥボロン寺院が一緒に入りそうなポイントに陣取る。
今は6時前だ。そろそろ日が沈む時間。
太陽が水平線近くに落ちていき、水面を明るく照らす。
さっきから海鳥?かな。多くの鳥が飛んでいる。
いつの間にかサンセットを見るために集まったお客さんが横一列、そしてボクらの列の後ろにも人だかりができて、日が落ちる瞬間を待ちわびているようだ。
オレンジの太陽の大部分が、水平線に沈む。
やがて、完全に海の向こう側へ消えていってしまった。
ここからは、空がだんだん暗く染まっていく、マジックアワーだ。
ま、そんなことお構いなしに、どんどん人が散っていく。
ボクもパドゥルさんと合流しよう。
どこかな?
お、パドゥルさん!
すぐ後ろにいてくれたみたいだ。
パドゥルさん、いいサンセットが見られました。
「今日はとてもよく見えましたね。この2,3日は海の上に雲が出ていて、キレイなサンセットは見られなかったのですけど」
おー、そうなんだ。
今日見られて、本当にラッキーだ。
やっぱり、最近のボクは天気に恵まれている。
それにしても、この鳥はもしかしてコウモリですか?
「コウモリですね。この下にちょうど巣があって、今一斉に出てきているところです」
なるほど、巣があるのか。尋常じゃないコウモリの数。
生きていて、生でこれ程多くのコウモリを見たのは初めてだ。
それでは、次にケチャを見に行きましょう。
海岸沿いを北上して、ケチャの会場と思われる場所に到着。
入り口で入場料約750円を払い、会場へ入る。
円形劇場のような感じで、真ん中に円形の舞台があり、その周りを段々になって客席が配置されている。
客席といっても席はなく、コンクリでできた石段という感じだ。
劇場全体がすり鉢状の形状になっている。
7時開始みたいなのだけど、今の所お客さんは少ないなぁ。
20人くらいかな。
このタナロット寺院ではなく、バリ島の最南端にあるウルワツ寺院の方は、とても賑わっているそうなのだけどね。
と、舞台の真ん中に立っている燭台のようなものに、火がともされる。
いよいよ、ケチャの始まりか?
すると、上半身裸で下に衣装を着た男たちが、手を挙げながら入り口から入ってくる。
その男たちは燭台を中心に、三重の円を描くようにポジションを調整しているようだ。
そして、「チャッ、チャッ、チャッ」と拍を取って「チャカチャカチャカチャカ」の大合唱。
すり鉢状の劇場全体に響く声で、ケチャが始まる。
20,30人ほどの男たちによる、迫力あるパフォーマンスだ。
ケチャは20世紀初頭に、ドイツ人の提唱で土着の踊りがショーのように再編成されたものだ。
インド叙事詩がもとになっており、ショーがストーリー仕立てとなっている。
途中猿の神様が出てきたり、悪そうな神様が出てきたりと、舞台のコマが変わっていく。
その途中途中で挟み込まれるケチャの独特な合唱が、いいアクセントだ。
ショーの最後は猿の神様が殺されて復活。
燭台の炎から分けた火が舞台に散らばり、それらを消し去ったところで邪神が倒されて幕が降りた。
お客さんから盛大な拍手。
といっても20人くらいだから、演者の人数と同じくらいだ。
ショー終わりで、舞台の中央では記念撮影が行われている。
さて、パドゥルさんを待たせていることだし、ボクは行こうかな。
お待たせしましたー。
迫力あって面白かったです。
「そうですかー。良かったです」
ふと上を見上げると、星が瞬いていた。
けっこう星が見えますね。
「東京じゃこんなに見られないんじゃないですか?」
そうですね。東京より全然よく見えます。ホントにキレイですね。
それじゃあ、ホテルまでよろしくお願いします。
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