シンガポールのショッピングの中心、オーチャードから東に約1km。シンガポールの歴史を今に伝える、シンガポール国立博物館があります。近年では経済・観光立国としてアジアの中でも特に注目を浴びていますが、どの様な歴史を辿ったのかはあまり知られていません。
本記事では、シンガポール国立博物館の展示で思った、日本との関係の深さについても綴りたいと思います。
白亜の美しい外観とテーマ別に分かれた展示
シンガポール国立博物館は、シンガポール内で最も古い博物館で、1849年にラッフルズ図書館の一部として始まりました。その後数回の移転の後、1877年に現在の場所に建てられています。白亜の外壁が気品を感じさせる美しさですね。
博物館は4つのエリアに分かれており、特に見ごたえがあるのは、14世紀からの歴史を現代まで振り返る「ヒストリックギャラリー」と、第二次世界大戦時の日本占領時代にフォーカスした特別展。それぞれのエリアごとにテーマに沿った展示形態となっており、観るだけでなく、体験できる仕掛けも用意されています。
ヒストリック・ギャラリー
「シンガポールの暮らし」に関する展示にフォーカスしたエリアは2階にあり、4つの時代を中心にシンガポールに暮らす人々の歴史にスポットをあてて、シンガポールという国を紹介しています。
1.入植以前の時代
まだ未開の地で原住民が漁業や交易などを営んでいたころ、そして15世紀に成立したマラッカ王国、その後のジョホール王国やポルトガル、オランダなどの侵攻などを中心に、シンガポールの種ができ始めた頃のことを紹介しています。
2.イギリスの入植時代
19世紀初頭にイギリス人のラッフルズが上陸。ジョホール王国からイギリスに正式に割譲がなされて、一気に発展していきました。その源は、やはりラッフルズが目を付けた立地。欧州、インドとアジア各国の交易中継地点として、人とモノがどんどん集まることになりました。
3.日本統治時代
1942年、第二次世界大戦中の日本軍はマレー半島を一気に南下し、僅か1週間のうちにシンガポールを守るイギリス軍が降伏したため、日本の植民地となりました。その後、日本が敗戦を迎えるまでは日本軍統治下にあり、各国の記録に差はありますが、大勢の方が殺害されたという事実もあります。
4.独立後の時代
日本軍が引いた後は、再びイギリスの植民地支配が始まりましたが、その後マレーシアに統合されます。そして、1965年にマレーシアから独立。このエリアでは、独立後から現在のシンガポールに至るまでを紹介しています。
日本統治時代の影響を知る
企画展示では、1942年2月から始まった日本のシンガポール占領に関する展示が、当時の資料や物品、映像などで行われていました。
内容は日本人からするとかなりショッキングなものばかり。日本軍が当時のシンガポールで行っていたことがつまびらかになっています。
展示の仕方などで感じることは、多かれ少なかれ日本が酷いことをしてきたということ。誇張された部分もあるかと思いますが、ミクロにフォーカスすると一つ一つは実際に起きたことだと思います。
この展示から、シンガポールからみた日本というのはあまりいいイメージはないのかもしれない、と思いました。
少なくとも、シンガポールではこのように教育されていることを、知っておく必要はあるかもしれません。
シンガポールの歴史を知るには、まず国立博物館へ
以上のように、シンガポールの歴史が建国以前から現代まで、エリア別によくまとめられています。一般の観光客にとっては観光だけ楽しめればいい、と思う方もいると思いますが、現地の国のことを知るのはその国へのリスペクトも含まれていると思います。
何も知らずに観光に行った時に、現地の人からどういう目で日本、日本人が見られているのかということを知るためにも、ぜひシンガポール国立博物館へ足を運んでみてください。
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