おはよう。
今日も早朝からアザーンが響き渡っていた。
けど、街から遠いため、昨日みたいにうるさい、って感じではなかったかな。
ひろしはまだ寝ている。
今のうちにシャワーを浴びてしまおう。
ボク自身の準備はバッチリ。
そろそろ夜が明ける頃なので、ボクはカメラを準備だ。
少しずつ、空が白み始めてきた。
夜から朝に変わるこの瞬間、すごい好きなんだよね。
切り取る範囲を変え、レンズを変え、かなりの枚数シャッターを切って行く。
フェズの街はとても大きいので、全景を写すと街並みが小さくなってしまうのが難点だ。
丘の向こう側から、太陽が顔をのぞかせ、眩しい光がレンズを通って目に差してくる。
この逆行は構図としてはあまり良くないと言われるけど、なんでだろうね。
こんなに美しいのに。
人間、自然と太陽を求めるから、ボクも思わずレンズを向けてしまう。
上手く順光で撮りたいけど、そうするとメインの街が少ししか入らない角度になってしまう。
この、被写体と太陽とカメラマンの位置関係。
めっちゃ難しいんだよね。
予め計算できればいいけど、観光だとこの時間しかいられない、ということが多い。
その時間帯に位置関係が悪いと、もうお手上げだ。
よし、撮れた撮れた。
と、ようやくひろしが起きてくる。
おはよう。
イイ感じの朝陽が見られるよー。
「おぉ、ホントだ。眩しい!」
朝陽が窓から部屋に入り込んでくる。
んー、気持ちのいい朝だ。
チェックアウトできる準備を整えて、朝食に行こうぜ。
用意を済ませて1階のレストランへ。
店内はかなり混んでいるな。特に欧米人が多い。
「おはよう」
おはよう。
ひーさんときっちゃんだ。
朝食はビュッフェ形式。
好きなものを取れるけど、日本のホテルのように種類が豊富ではない。
サラダやチーズ、卵類とパン類だ。
大皿にサラダとチーズを適当に取る。そんなに美味しそうではないから、少量で。
「わたしたち席見つけておくねー」
ひろしときっちゃんは席を探しにいく。
じゃあ、ボクたちはエッグステーションで、オムレツをオーダーしてこようか。
エッグステーションでは、シェフがその場で卵料理をしてくれる。
目玉焼きやスクランブルエッグもできるそうだが、ベーコンやマッシュルームを入れてくれる、オムレツだよね。
前には、10人くらいの列ができている。
一つ一つそれなりの時間がかかるので、しばらく待ちだ。
10分ほどして、ようやく順番が回ってくる。
ベーコン、マッシュルーム、トマト、ネギ入りでお願いします。
全部で4つだから、かなり時間掛かったね。
席はフロアの中で1段高くなった、丸テーブルを取ってくれたみたい。
「おはよー」
おはよう。
みーとぷかが増えている!
それじゃ、いただきます。
冷めないうちに、オムレツをいただこう。
うん、美味しい。
出来立てだから、なおいいね。
あとは、パン類。
ジャム入りのデニッシュなど、全体的に甘めのパンばかりが置いてあったんだよね。
なので、お皿に並ぶパンも必然的に甘いものばかり。
ま、甘いもの好きだからいいんだけどね。
ふぅ、ごちそうさま。
自称5つ星だけあって、美味しいご飯だった。
それじゃ、部屋に戻ろか。
歯磨きとかしないと。
「あ、伊佐さん。めっちゃパソコン広げて仕事してる」
本当だ。
窓から入る朝陽を浴びて輝いていることと、真っ赤なジュラバ着ているのが不自然だけど、完全仕事モードだ。
おはようございま-す。
ではまた後にロビーで。
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