Travel Diary

日本 北海道 知床半島のダイナミックな岸壁とやせ細った子熊

船が出港し波除けの護岸から離れていく。

岸から離れて沖に行くかと思いきや、岸から200~300mくらいの距離を保ちつつ、半島に沿って北上していく。

船が結構い飛ばしているのもあるけれど、岸に近いので迫力がある。
ちょっとしたジェットコースターに乗っている気分だ。

「前方に見えているのがプユニ岬といいます。プユニはアイヌ語で”穴のある場所”という意味になりますね」

なるほど。
横から見ると突き出した岬が岸から離れていて、たしかに穴が開いているように見える。

さらに数分、船が進んで行く。

「岸壁から細く流れている滝が見えますか?この可憐な流れの様子から、地元では”乙女の涙”と呼ばれています」

ほぉ。
中々ロマンティックなネーミングだ。

「次に見えているのが、その荒々しさから”男の涙”と呼ばれている滝になります」

荒々しいというか、さっきの乙女の涙に比べて水量は多いから、その対比で男の涙なのだろう。
どっちの滝も個性があってキレイだ。

そして船は岸沿いをさらに北上。
「あの岩をご覧ください。何に見えますか?」

船長が指した方を見てみる。
うむ、あれはお地蔵さんだね、たぶん。

「あれは像岩といいます。お地蔵さんの姿に見えませんか?」
天然でできた岩にしては、本当に変わった形をしている。

それにしても、知床半島の岸壁は特にこの辺りは絶壁だ。
長年の北からの波が岩をえぐり取っていったのだろう。
ダイナミックな岸がずっと続いている。

お、また滝が見えてきた。

「あちらに見えるのが、有名なカムイワッカの滝ですね。カムイが神、ワッカは水という意味で、カムイワッカは神の水という意味になります」

カムイは神というのは知っていたけれど、ワッカが水という意味なのは初めて知った。
某有名なゲームのⅩでは水をモチーフにした描写が多かったのだけど、ワッカというキャラクターはきっとアイヌ語を元にしたに違いない。
ブリッツボールという水の中で行われるスポーツの選手でもあるしね。

と、かなり昔にやったゲームのことを思い出していたが、船はさらに進んで行く。

「あ!岸にクマがいますね」
え?どこ、どこ??

ボクもだけど船上がにわかにザワつく。
やはりこのクルーズの一番の目的は、皆ヒグマだ。
ヒグマの勇壮な姿を見たいのだ。

しかし、、、うーん、どこにいるんだろう?
岸の方を見るけれど、全然その姿を捕らえることはできない。

じっと目を凝らす。

お、いた!

いたけれど小さくないか?
距離が遠くて実際の大きさがどのくらいかはっきりは分からないけれど、思ったよりも小さい気がする。

「あー、あれは子熊ですね。しかもけっこうやせ細ってますね。普通あのくらいの小ささだと親クマとまだ一緒にいるんですが、親クマとはぐれたか、育児放棄されてしまったか。。。」

船長さんがかなり悲しいことを言う。
しかし、自然の中でもクマの育児放棄ということはまあまああるらしい。

どういう経緯がこの子熊にあるのか分からないけど、やせ細った感じは確かに見られるので、食料探しが上手くいっていないのが分かるね。

子熊が波打ち際まで来て、石の下や隙間辺りを探しているのが見て取れる。
多分カニなど食料を探しているのだろう。
ちょっと胸が痛むね。

「ちなみに隣の滝にも注目してくださいね。ヨウシベツの滝といいます。では、そろそろ行きますね。」

船が離れ、再び海上を進んで行く。

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