連続してヒグマを見られるなんて、かなりラッキーな体験だ。
興奮冷めやらぬ乗客を乗せ、船は知床岬を目指してさらに北上していく。
この辺は冬になると流氷が押し寄せる。
昔は砕氷船などなかったので、漁に出て流氷が来てしまったら、岸に完全に閉じ込められてしまったそうだ。
そんな時の退避場所として、知床半島の岸にはいくつか”番屋”と呼ばれる小屋が建てられている。
木造の簡素な造りのものだが、雪と雨風をしのげる感じではある。
あとは食料があれば、流氷がなくなる一冬くらいは越せそうだ。
今は砕氷船があったり、流氷の観測もできているので、いつ頃流氷がやってくるか分かっている。
その為、これらの番屋はほとんど使われなくなったそうだ。
しばらく、何もない感じの岸壁が通り過ぎていく。
半島の先端の方は、あまり見る箇所もないようだ。
やがて船は知床岬へ。
岬には灯台が設置されている。
ここは北海道の最東端になるのかな。
半島を回った反対側には、昨日のクルーズでも見えた国後島が見える。
この場所は他には特に何もないのだろう。
特に何かをウォッチングすることもなく、船は反転。
また来た海を戻っていく。
ここまで1時間半以上かけて来たからなぁ。
戻るのにも1時間以上かかるかも。
帰りは岸からけっこう離れたポイントを進んで行く。
なので、岸を観察することもままならん。
行きにクマが見えたポイントには少し近づいてくれるが、もうクマの姿は見えない。
むなしく船が通過していく。
やがてルシャ海岸に近づいてきた。
「あ、今度は大きなクマがいますね!」
本当だ。
遠めだけれども、大きいクマだということがすぐに分かるくらい大きい。
川辺でサケを獲っているみたいだ。
クマの周辺には、お決まりのようにカラスが群れをなしている。
おっ、川の中を手でかいている。
テレビでは見たことがあるけれど、実際にその様子を見るのは初めてだ。
「あの子は狩りが下手ですね。上手な子は一発で獲るんですけど」
何回かチャレンジしているが、中々獲れないみたいだ。
てか、近くに人がいないか?
川の向こう側に、少し高くなっている場所がある。
そこに車を停め、さらに高い位置に座った、蛍光グリーンの服を着た人がいる。
「奥の方に人がいるのが見えますか?あれは調査委員で、クマの生態を調査したりもしています」
なるほど。
しかし、あんなに近くで襲われやしないのだろうか。
「あー、奥に行って見えなくなっちゃいましたね。時間もないので、先行きますね」
と、船長さんが諦めて出発しようとすると、奥からまたクマが現れる。
それに合わせて船長さんも船を少しの間停めてくれる。
川にザバザバ入って顔も水中につけている様だ。
けれど全然獲れないね。。。
船長さんはサケを獲る姿を見せたかったみたいだけど、さすがに諦めて今度こそ港に向けて出発。
天気もだいぶ悪くなってきて、今にも雨が降りそうだ。
雨が降ってくる前に、岸に上がりたいね。
そして、ようやく出港した港、オロンコ岩が見えてくる。
往復3時間の長丁場だ。
さすがに少し疲れたかな。
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